問1 都市ガスの原料及びその取扱いに関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ LNGの漏えい、流出に伴って発生する白い霧は、可燃性混合気を含むが、着火、爆発等が発生する危険はなく、安全な領域を示す一つの目安である。
ロ 密度差の大きい異種LNGを同じ貯槽に入れる場合、貯槽内部において対流が盛んに行われるために、液全体が均質な密度分布となる。
ハ LNGを取り扱う際にボーイングが起こると、外気熱による温度の上昇により、LNGが膨張しようとするため、内部の圧力が上昇し、フランジ等の弱い部分が破壊されるおそれがある。
ニ LNG船では、万が一LNGがタンクから漏えいし、低温液体が船体に触れた場合、船体の鋼材が低温靭性によって損傷することを防ぐため、タンクの外側に防壁を設けている。
ホ バイオガスは、下水、家畜糞尿、生ごみなどの水分の多い有機物を無酸素状態でメタン発酵することにより発生する。発生するガスの組成は、ほとんどがメタンと窒素である。
(1)1(2)2(3)3(4)4(5)5
答え(5)
イ ×
LNGの漏えい、流出に伴って発生する白い霧は、可燃性混合気を含むが、着火、爆発等が発生する危険があり、危険な領域を示す一つの目安である。
ロ ×
密度差の大きい異種LNGを同じ貯槽に入れる場合、層状化が発生しやすい。
ハ ×
LNGを取り扱う際に液封が起こると、外気熱による温度の上昇により、LNGが膨張しようとするため、内部の圧力が上昇し、フランジ等の弱い部分が破壊されるおそれがある。
ニ ×
LNG船では、万が一LNGがタンクから漏えいし、低温液体が船体に触れた場合、船体の鋼材が低温脆性によって損傷することを防ぐため、タンクの外側に防壁を設けている。
ホ ×
バイオガスは、下水、家畜糞尿、生ごみなどの水分の多い有機物を無酸素状態でメタン発酵することにより発生する。発生するガスの組成は、ほとんどがメタンと二酸化炭素である。
問2 製造設備に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 往復式圧縮機を吐出圧力が低い状態で運転すると、全断熱効率が向上して省エネルギーになる。
ロ LNGポンプでは、ポンプ軸封部からのガス漏れを防止するため、ポンプとモーターを一体にしてポンプケーシングに入れている。
ハ サブマージド式気化器は水中バーナーの燃焼を利用したものであり、ピークシェービング用あるいは緊急予備用として、LNG一次受入基地で使用されている。
ニ 玉形弁(グローブ弁)は、弁体が弁座面に垂直に開閉する形状で、流れの方向が急激に変化するため、流体の圧力損失が大きい。
ホ LNGポンプを安全に運転するには、キャビテーション防止の観点から、有効吸込ヘッド(NPSHav)を必要有効吸込ヘッド(NPSHre)より大きくする必要があるが、LPGポンプではキャビテーションの考慮は不要である。
(1)1(2)2(3)3(4)4(5)5
答え(2)
イ ×
往復式圧縮機を吐出圧力が低い状態で運転すると、全断熱効率が低下する。
ホ ×
LNGポンプを安全に運転するには、キャビテーション防止の観点から、有効吸込ヘッド(NPSHav)を必要有効吸込ヘッド(NPSHre)より大きくする必要がある。キャビテーションが起こると、ポンプ効率や吐出量が急激に低下し、この状態が継続すると羽根や胴体の一部が損傷することがある。
問3 製造設備の電気設備及び計装設備に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ カルマン渦式流量計は、カルマン渦の発生数が流速に比例する原理を利用した流量計である。
ロ 測温抵抗体は熱電対と比較して、常温及び中温域での精度が良い。
ハ 2回線受電の一つである常用予備受電方式(予備電源)では、保守時の常用線から予備線への切替えを無停電で行うことができる。
ニ 熱伝導率式熱量計は総発熱量計である。
ホ ダイアフラム式圧力計は、適切な受圧部の選択により広範囲の測定が可能で、応答が早い。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(1)
ハ ×
2回線受電の一つである常用予備受電方式(予備電源)では、保守時の常用線から予備線への切替えを停電させて行う。
問4 都市ガスの熱量調整、燃焼性管理及び熱量測定に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 高発熱量ガスを空気で希釈すると、ウォッベ指数(WI)は変化しないが、燃焼速度(MCP)は低下する。
ロ 発熱量40MJ/m³の天然ガス90m³を発熱量100MJ/m³のLPG(ガス)で増熱して、供給ガスを100m³製造する場合、この供給ガスの発熱量は、45MJ/m³となる。
ハ ガスクロマトグラフとは、固定相に移動相と呼ばれるキャリアガスを流して、固定相と移動相との間における試料各成分の溶解性、吸着性の差によって成分物質を分離し、測定する装置である。
ニ ガスクロマトグラフのキャリアガスには、純度が体積分率99.99%以上の酸素が用いられている。
ホ ガスクロマトグラフの熱伝導度検出器(TCD)は、有機化合物にしか感度を示さないが、非常に高感度である。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(4)
イ ×
高発熱量ガスを空気で希釈すると、燃焼速度(MCP)は変化しないが、ウォッベ指数(WI)は低下する。
ロ ×
発熱量40MJ/m³の天然ガス90m³を発熱量100MJ/m³のLPG(ガス)で増熱して、供給ガスを100m³製造する場合、この供給ガスの発熱量は、46MJ/m³となる。
{(40×90)+(100×10)}/100 = 46 MJ/m³
ニ ×
ガスクロマトグラフのキャリアガスには、純度が体積分率99.99%以上の窒素、ヘリウム、アルゴンなど不活性ガスが用いられる。
ホ ×
ガスクロマ卜グラフの熱伝導度検出器(TCD)は、無機化合物、有機化合物のいずれも検出できるが、一般に水素炎イオン化検出器(FID)より感度が低い。
問5 都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 付臭は、ガスの漏えいを早期に検知するためのものであり、付臭濃度が高すぎても特に問題は生じない。
ロ ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、ジメチルサルファイド(DMS)、シクロヘキセンのうち、比較的土壌透過性が高いのは、TBMである。
ハ 中圧以上のガス圧力により行う大口供給の用に供する場合は、付臭が免除されている。
ニ 臭気濃度測定のパネル法には、オドロメーター法、検知管法、におい袋法がある。
ホ 付臭剤濃度測定による臭気濃度の管理値は、換算式をもとに算定する濃度に含まれるバラツキを考慮し、2000倍以上と規定されている。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(3)
イ ×
ガスの付臭濃度が低すぎると、漏えいを検知しにくくなる。一方で、高すぎると嗅覚疲労を引き起こしたり、燃焼時に未燃ガスの臭いが強くなったりするため、適切な濃度管理が必要である。
ロ ×
ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、ジメチルサルファイド(DMS)、シクロヘキセンのうち、比較的土壌透過性が低いのは、TBMである。
ニ ×
臭気濃度測定のパネル法には、オドロメーター法、注射器法、におい袋法がある。
問6 製造設備の保安及び防災に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ すべてのガス工作物に対して、最高使用圧力や能力ごとに、事業場の境界までの離隔距離、あるいは学校等の保安物件までの離隔距離が定められている。
ロ 埋設されていない液化ガス用貯槽であって貯蔵能力が1500t(特定事業所に設置される場合にあっては1000t)以上のものには、適切な防液堤を設置しなければならない。
ハ ベントスタックは、発生するふく射熱が周囲に障害を与えないよう適切な措置を講ずる必要がある。
ニ ガスホルダーや液化ガス用貯槽に連絡される配管等には、圧力又は温度の変化による伸縮を吸収するため、自己可とう管や配管ループ等を設置する。
ホ サイバーセキュリティの確保のため、法令で定める生産能力を有するLNG受入基地の制御システムは、経済安全保障法*に基づく特定重要設備として取り扱われる。
*経済安全保障法とは、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律をいう。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(3)
イ ×
一部のガス工作物に対して、最高使用圧力や能力ごとに、事業場の境界までの離隔距離、あるいは学校等の保安物件までの離隔距離が定められている。
すべてのガス工作物が離隔距離を有する必要はない。
ロ ×
埋設されていない液化ガス用貯槽であって貯蔵能力が1000t(特定事業所に設置される場合にあっては500t)以上のものには、適切な防液堤を設置しなければならない。
ハ ×
フレアスタックは、発生するふく射熱が周囲に障害を与えないよう適切な措置を講ずる必要がある。
問7 製造設備の建設及び操業に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 製造設備を安全かつ円滑に運転するため、あらかじめ運転管理基準、運転操作要領等を作成し、それに従って関係者の教育・訓練を実施する。
ロ LNG受入基地におけるLNG受入方法は、受入貯槽内LNGと受入LNGとの密度差、受入貯槽の液レベル及び受入速度を考慮し決定する。
ハ LNG受入基地の稼働調整方式の一つである圧力制御は、設備から流出する流体の圧力を一定に保つ制御方法であり、需要変動に応じて供給量を自動的に調整できる。
ニ ガス製造設備の大型の平底円筒形貯槽等では、一般的な構造物とは地震応答が異なり、スロッシングが生じる短周期地震動による設計も必要となる。
ホ 溶接方法のうち、シールドガスとしてアルゴン等の不活性ガスを用い、母材と非消耗のタングステン電極との間に発生させるアーク内に溶加材を送り込んで溶接する方法を被覆アーク溶接という。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(2)
ニ ×
ガス製造設備の大型の平底円筒形貯槽等では、一般的な構造物とは地震応答が異なり、スロッシングが生じる長周期地震動による設計も必要となる。
ホ ×
溶接方法のうち、シールドガスとしてアルゴン等の不活性ガスを用い、母材と非消耗のタングステン電極との間に発生させるアーク内に溶加材を送り込んで溶接する方法をティグ溶接という。
問8 製造設備の保全に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 定期保全とは、設備が予定の累積運転時間に達したときに行う保全のことである。
ロ ポンプのインペラのように、材料と流動する溶液の界面で気泡の発生と破壊を繰り返すことで生ずる孔食状の腐食は、キャビテーションエロージョンと呼ばれる。
ハ 溶接部において、溶融金属が冷却される際に収縮することにより、圧縮の残留応力が生ずる。
ニ 超音波探傷試験(UT)は、検査物の片側だけから検査できるが、割れのような平面欠陥の検出には適さない。
ホ 磁粉探傷試験(MT)は、表面から数mm以上の内部欠陥の検出が可能な検査方法である。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(4)
イ ×
経時保全とは、設備が予定の累積運転時間に達したときに行う保全のことである。
ハ ×
溶接部において、溶融金属が冷却される際に収縮することにより、引張りの残留応力が生ずる。
ニ ×
超音波探傷試験(UT)は、検査物の片側だけから検査でき、割れのような平面欠陥の検出に適している。
ホ ×
磁粉探傷試験(MT)は、表面から数mm以上の内部欠陥の検出はできない。
問9 環境対策及び省エネルギーに関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ モーターのようなコイル要素を持った負荷を運転する場合は、電圧に比べ電流が遅れた波形になるので、進相コンデンサーを用いて力率を 0 に近づけることが省エネルギー上有効である。
ロ 一般に、LNG冷熱の10~20%は、ガス送出圧力エネルギーとして回収されており、残りの未利用の冷熱エネルギーの活用が工夫されている。
ハ CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)とは、発電所や化学工場等から排出されたCO₂を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに圧入、貯留するものである。
ニ ボランタリークレジット制度とは、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO₂等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO₂等の吸収量を、クレジットとして国が認証する制度である。
ホ グリーントランスフォーメーション(GX)とは、化石燃料をできるだけ使わず、太陽光や水素等の自然環境に負荷の少ないエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことをいう。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5
答え(3)
イ ×
モーターのようなコイル要素を持った負荷を運転する場合は、電圧に比べ電流が遅れた波形になるので、進相コンデンサーを用いて力率を 1 に近づけることが省エネルギー上有効である。
ロ ×
一般に、LNG冷熱の40~50%は、ガス送出圧力エネルギーとして回収されており、残りの未利用の冷熱エネルギーの活用が工夫されている。
ニ ×
J-クレジット制度とは、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO₂等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO₂等の吸収量を、クレジットとして国が認証する制度である。
ボランタリークレジットは、民間企業やNGOなどの団体が発行するカーボンクレジットの一種である。