問1 容積一定の容器にメタンだけが充てんされており、圧力は 400 kPa であった。この状態の容器に、更にメタン 16 kg、プロパン 11 kg を混合したガスを充てんしたところ、温度はもとの温度と変わらず、圧力は 800 kPa になった。このときの容器内のメタンの分圧(kPa)として、最も近い値はどれか。ただし、いずれのガスも理想気体とする。
(1)480 (2)640 (3)720 (4)760 (5)780
答え(3)720
1.追加後の全モル数の合計
初期メタン: x mol
追加:メタン 1000 mol、プロパン 250 mol
合計:x+1250
2.全体の圧力:800 kPa → モル数に比例
分圧は「全圧 × メタンの割合」
メタン分圧 = 800 × (x+1000) / (x+1250)
3.初期は、x mol → 圧力 400 kPa
→ 圧力 xモル数なので、比を使って:
400/800 = x / (x+1250)
x = 1250
4.代入
メタン分圧 = 800 × (1000+1250 / 2500)
= 800×0.9
= 720 kPa
問2 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)気体の拡散速度は、水素、メタン、エタン、プロパンと分子量が大きくなるにつれて小さくなる。
(2)1 mol あたりで比較すると、圧縮係数が 1 より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より大きくなる。
(3)ラウールの法則によれば、液体に不揮発物質を溶解した希薄溶液の蒸気圧は、その不揮発物質のモル分率の上昇に比例して低下する。
(4)実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を低くする作用をもたらす。
(5)一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に比例する。
答え⑵
1 mol あたりで比較すると、圧縮係数が 1 より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる。
問3 温度 400 K の高温熱源と温度 200 K の低温熱源の間で作動する逆カルノーサイクルの時間あたりの仕事が 10 kW であった。この逆カルノーサイクルの高温熱源への放熱量(kW)として、最も近い値はどれか。
(1)5 (2)10 (3)15 (4)20 (5)50
答え(4)20
高温熱源 TH=400 K
低温熱源 TL=200 K
なので、
Q = {400 / (400−200) }× 10
= 400/200 × 10
= 20 kW
問4 都市ガスを燃焼させて、1000 m³、10°C の空気を圧力一定のもと 55°C まで暖めたい。熱効率を 80% とした場合、必要な都市ガスの体積(m³)として最も近い値はどれか。ただし、体積は標準状態(0°C、101325 Pa)における体積とし、空気の定圧モル熱容量を 30 J/(mol・K)、都市ガスの発熱量を 45 MJ/m³ とする。
(1)0.60 (2)0.80 (3)1.1 (4)1.3 (5)1.7
答え(5)1.7
1.空気を温めるのに必要な熱量を求める
・1000m³のモル数n:(1000/22.4) ×10³ mol
・定圧モル熱容量Cv:30 J/(mol・K)
・温度差K:55 – 10 = 45 K
以上より、熱量Q = (1000/22.4) ×10³ × 30 × 45
= 6.03 × 10⁷ J…①
2.都市ガスで供給する熱量
発熱量:45 MJ/m³
熱効率:80%
より、45 × 10⁶ × 0.8 J/m³…②
3.必要な都市ガスの体積
①÷②より、
(6.03 × 10⁷ ) / 45 × 10⁶ × 0.8
= 1.67 m³
問5 一次反応において、反応物が初期濃度から 50% 反応するのに 120 秒を要した。この反応において、初期濃度から 87.5% 反応するのに要する時間(秒)として、最も近い値はどれか。
(1)180 (2)210 (3)240 (4)360 (5)480
答え(4)360
一次反応では、「濃度が 1/2 → 1/4 → 1/8」と減っていくごとに同じ時間(半減期)がかかるので、
初期 → 50% 減少:120 秒
1/2 → 1/4:さらに 120 秒
1/4 → 1/8:さらに 120 秒
1/2+1/4+1/8=0.875
なので、
120+120+120
= 360
問6 下の図は、化学反応の過程におけるエネルギーの変化を表したものである。この図に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)A は活性化エネルギーに相当する。
(2)触媒を用いると B を小さくすることができる。
(3)C は反応熱に相当する。
(4)D は臨界状態である。
(5)この反応は吸熱反応である。
答え⑴
(2)触媒を用いると A を小さくすることができる。
(3)B は反応熱に相当する。
(4)D は遷移状態である。
(5)この反応は発熱反応である。
問7 メタンを空気で完全燃焼させたところ、湿り燃焼ガスの酸素濃度が 5 vol% であった。このときの空気比として最も近い値はどれか。ただし、空気中の窒素と酸素の体積比は 4:1 とする。
(1)1.17 (2)1.37 (3)1.57 (4)1.77 (5)1.97
答え(2)1.37
CH4+2O2→CO2+2H2O
湿り燃焼ガス量(m³) = 燃焼排ガス中のO2 + 燃焼排ガス中のN2 + 燃焼排ガス中のCO2 + 燃焼排ガス中のH2O
より、
燃焼排ガス中のO2:2(a-1) mol
燃焼排ガス中のN2:2a×4 = 8a mol
燃焼排ガス中のCO2:1 mol
燃焼排ガス中のH2O:2mol
より、
2(a-1) / {8a+2(a-1)+1+2} = 0.05
a = 1.37
問8 燃焼に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)コジェネレーション等の効率を求める際には、供給ガスの発熱量として低位発熱量を用いて計算することが多い。
(2)メタンの燃焼において、十分な空気量が確保されていたとしても燃焼反応に十分な時間が確保できない場合等では、CO が燃焼ガスとして排出される可能性がある。
(3)水素の層流燃焼速度はメタンと比べて速く、空気比 0.5 付近が最大となる。
(4)燃料と空気を混合した可燃性混合気の空気比が 1 より小さいブンゼン火炎の燃焼形態は、部分予混合燃焼である。
(5)層流燃焼速度は乱流予混合火炎にみられる渦運動の影響がなく、乱流燃焼速度より速い。
答え(5)
層流燃焼速度は乱流燃焼速度より遅い。
問9 流体に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)ピトー管では、測定された差圧が 2 倍になると、流速は 2 倍になる。
(2)ベルヌーイの式は、流線上で圧力エネルギーと運動エネルギーの和が一定に保存されることを示す。
(3)粘度を密度で割った値を動粘度といい、単位は m²/s で表すことができる。
(4)直円管内の完全に発達した層流の場合、摩擦係数はレイノルズ数に比例して大きくなる。
(5)直円管内の完全に発達した乱流で管壁面が滑らかな場合、管摩擦係数はレイノルズ数に比例して大きくなる。
答え(3)
(1)×
ピトー管では、測定された差圧が √2 倍になると、流速は 2 倍になる。
(2) ×
ベルヌーイの式は、流線上で①圧力エネルギー、②位置エネルギー、③運動エネルギーの和が一定に保存されることを示す。
(4) ×
直円管内の完全に発達した層流の場合、摩擦係数はレイノルズ数に反比例して小さくなる。
(5) ×
直円管内の完全に発達した乱流で管壁面が滑らかな場合、管摩擦係数はレイノルズ数に反比例して小さくなる。
問10 内径が d₁=200 mm から d₂=300 mm に拡大しているディフューザがある。上流の内径 d₁ における流体の平均流速 v₁ が 3 m/s のとき、ディフューザの損失ヘッド Δh(m)として最も近い値はどれか。ただし、重力加速度 g を 10 m/s² とする。

(1)0.08 (2)0.14 (3)0.28 (4)0.38 (5)0.56
答え (2)0.14
基本式(損失ヘッド Δh)
Δh = (ξ⋅v1²) / 2⋅g
ここで:
・v1 = 3 m/s(上流の流速)
・g = 10 m/s²(重力加速度)
ξ:損失係数(拡大管の形状と流速比に依存)
損失係数の計算
損失係数 ξ は拡大管で以下の式で求められます
ξ = {1 − (A2/A1)}²
断面積の比を使います
d1 = 200 mm = 0.2 m
d2 = 300 mm = 0.3 m
面積比
(A1 /A2) = (d2/d1)²=(0.2/0.3)² = 4/9
損失係数
ξ = (1 − 4/9)² = (5/9)² = 25/81 ≒ 0.31
損失ヘッドの計算
Δh = 0.31⋅{3² /(2⋅10)}
= 0.31⋅(9/20)
≒ 0.14 m
問11 メタンガスの流量をオリフィスメーターを用いて測定したところ、流量 100 m³/h のときの差圧が 1 kPa であった。差圧が 4 kPa になったときの流量(m³/h)として、最も近い値はどれか。ただし、流量係数など他の条件は変わらないものとし、メタンガスは理想気体として取り扱えることとする。
(1)10 (2)40 (3)100 (4)200 (5)400
答え(4)200
オリフィスメーターによる流量 Q は、差圧 ΔP の平方根に比例します。
・差圧 ΔP1 = 1 kPa
・初期の流量 Q1 = 100 m³
変化後
・差圧 ΔP2 = 4 kPa
・新しい流量 Q2
Q2 = √4 × 100
= 200 m³/h
問12 蒸気を通した外径 100 mm の鋼管を厚さ 50 mm、熱伝導率 = 0.05 W/(m·K) の保温材で巻いてある。保温材内面の温度 T₁ = 180°C、保温材外面の温度 T₂ = 40°C であるとき、管長 1 m あたりの熱損失(W)として、最も近い値はどれか。ただし、ln 2 = 0.70 とする。
(1)20 (2)31 (3)63 (4)81 (5)126
答え(3)63
Q = {2× π × k × L × (T1-T2)} / ln(r2/r1)
・Q:熱損失 [W]
・k:保温材の熱伝導率 = 0.05 W/(m·K)
・L:管の長さ = 1 m
・T1:保温材内面温度 = 180°C
・T2:保温材外面温度 = 40°C
・r1:保温材内半径 = 外径100 mm → 半径 = 0.05 m
・r2:保温材外半径 = 0.05 m(内半径)+ 0.05 m(厚さ) = 0.10 m
ln(r2/r1) = ln(0.10 / 0.05) = ln 2 = 0.70
Q = {2 × π × 0.05 × 1 × (180-40)} / 0.70
≒ 63 W
問13 伝熱に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)熱交換器の熱通過率(W/(m²·K))は、高温流体側、低温流体側それぞれの熱伝達率(W/(m²·K))及び高温流体・低温流体間の隔壁の熱伝導率(W/(m·K))とその厚み(m)により求められる。
(2)沸騰、凝縮等の相変化があると熱伝達率は著しく大きくなる。
(3)熱放射において、熱エネルギーとして重要な電磁波は、概ね可視光と赤外線を合わせた波長帯にある。
(4)放射率は一般に温度が高くなると大きくなり、金属の場合は酸化面では大きいが、研磨面では小さい。
(5)向流形熱交換器は、一般に並流形や直交流形より温度効率が高い。
答え(1)
熱交換器の熱通過率(W/(m²·K))は、高温流体側、低温流体側それぞれの熱伝達率(W/(m²·K))及び高温流体・低温流体間の隔壁の熱伝導率(W/(m·K))とその厚み(m)により求められる。
問14 両端面を平板で密閉した内径 D、肉厚 t の薄肉円筒がある。この薄肉円筒に内圧(円筒外部との圧力差) P が作用するときの円周応力 σ𝗍 と軸応力 σ𝗓 の組み合わせとして正しいものはどれか。
(1)σ𝗍 = PD/2t σ𝗓 = PD/4t
(2)σ𝗍 = PD/4t σ𝗓 = PD/2t
(3)σ𝗍 = PD/4t σ𝗓 = PD/4t
(4)σ𝗍 = PD/8t σ𝗓 = PD/4t
(5)σ𝗍 = PD/4t σ𝗓 = PD/8t
答え(1)
σ𝗍 = PD/2t
σ𝗓 = PD/4t
問15 高分子材料に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ガラス転移温度とは、高分子材料の非晶質部分の分子鎖が回転や振動を始める温度であり、この温度を超えると剛性と粘度が低下し流動性が増す。
(2)熱硬化性樹脂は、一般に成形は一回しか行えない。
(3)高分子材料のクリープは常温であっても生じる。
(4)ポリエチレンの引張強さ(MPa)は、高張力鋼より小さい。
(5)ポリプロピレンの破断伸び(%)は3~6(ASTM規格に基づいた測定値)である。
答え(5)
ポリプロピレンの破断伸び(%)は200~700(ASTM規格に基づいた測定値)である。