問1 質量 30 g のエタンの中に含まれる炭素原子の数として、最も近い値はどれか。
(1) 1.2×10²³
(2) 6.0×10²³
(3) 1.2×10²⁴
(4) 2.4×10²⁴
(5) 3.6×10²⁴
答え(3) 1.2×10²⁴
物質量の計算とアボガドロ数を使って解く典型的な問題です。
エタン(C₂H₆)の情報
分子量(モル質量)
C = 12、H = 1 → C₂H₆
= 2×12 + 6×1 = 30 g/mol
質量:30 g
よって、エタンのモル数は 1 mol
アボガドロ数
1 mol の物質には 6.0×10²³ 個の分子が含まれる。
炭素原子の数
1 分子のエタン(C₂H₆)には 炭素原子が2個含まれるので、1 molのエタンには
6.0×10²³ × 2 = 1.2×10²⁴ 個の炭素原子が含まれる。
問2 次の物質のうち、1 g 中に含まれる分子の個数が最も多いものはどれか。
(1) 酸素
(2) 水素
(3) メタン
(4) プロパン
(5) ブタン
答え(2) 水素
この問題は、「1 g 中に含まれる分子の個数」=「モル質量が最も小さい物質が有利」という性質を利用して解くことができます。
⑴:各物質のモル質量(g/mol)を確認
物質 | 化学式 | モル質量 (g/mol) |
酸素 | O₂ | 16×2 = 32 |
水素 | H₂ | 1×2 = 2 |
メタン | CH₄ | 12 + 1×4 = 16 |
プロパン | C₃H₈ | 12×3 + 1×8 = 44 |
ブタン | C₄H₁₀ | 12×4 + 1×10 = 58 |
⑵:1 g あたりのモル数を計算(=分子数に比例)
モル数 = 1 g / モル質量
酸素 → 1 ÷ 32 ≒ 0.031 mol
水素 → 1 ÷ 2 = 0.5 mol
メタン → 1 ÷ 16 = 0.0625 mol
プロパン → 1 ÷ 44 ≒ 0.0227 mol
ブタン → 1 ÷ 58 ≒ 0.0172 mol
⑶:モル数が多いほど分子数が多い
最もモル数が大きいのは 水素(0.5 mol)
になる。
問3 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) モルは国際単位系(SI)の基本単位の一つである。
(2) 二酸化炭素 1 モルとプロパン 1 モルは標準状態(0°C、0.1 MPa)において質量、体積ともほぼ同じである。
(3) メタンやプロパンの分子は化合物というが、酸素や水素の分子は化合物とはいわない。
(4) 窒素分子は窒素原子同士が三重結合している。
(5) 一酸化炭素とメタンでは、一酸化炭素の分子量の方が小さい。
答え(5)
一酸化炭素(CO)とメタン(CH₄)では、メタンの分子量の方が小さい。
問4 標準状態(0°C、0.1 MPa)におけるブタン 8.7 kg の体積(m³)として、最も近い値はどれか。
(1)1.68 (2)3.36 (3) 6.72 (4) 11.2 (5) 22.4
答え(2) 3.36
この問題は、「標準状態における気体のモル体積(22.4 L/mol)」を利用して、
ブタンの質量 → モル数 → 体積
の順に計算していきます。
⑴:ブタンのモル質量を求める
ブタン(C₄H₁₀)のモル質量
12×4 + 1×10 = 48+10 = 58 g/mol
⑵:モル数を求める
ブタンの質量は 8.7 kg = 8700 g
モル数 = 8700/58 ≒ 150 mol
⑶:標準状態での体積を求める
標準状態では、1 mol の気体の体積は、
22.4 L = 0.0224 m³
体積 = 150 mol×0.0224 m³/mol
= 3.36 m³
問5 水槽の水面が常に深さ 5 m に保たれている。水槽の底面に直径 10 cm の小穴をあけたとき、小穴から噴出する水の流量(m³/s)として、最も近い値はどれか。ただし、g を重力加速度 10 m/s²、Z を深さ(m)としたとき、小穴から噴出する水の流速 u = √(2gZ)(m/s)であり、摩擦による損失等は考慮しないものとする。
(1) 0.025
(2) 0.075
(3) 0.15
(4) 1
(5) 10
答え(2) 0.075
この問題は、小穴から噴出する水の流量(体積流量)を求めるものです。
与えられている条件:
水深 Z = 5m
重力加速度 g = 10m/s²
小穴の直径 d = 10cm = 0.1m
小穴の面積:
A = πd²/4 = π(0.1)²/4 = π/400
≒ 0.00785m²
流速:
u = √(2gZ) = √(2×10×5) = √100 = 10 m/s
流量の計算:
Q = A×u = 0.00785×10 ≒ 0.0785 m³/s
解答の中で(2) 0.075 が最も近い値になる。
問6 気体容器内の圧力を測定するため、水を注入したマノメーターの一端を気体容器に接続し、別の一端を大気開放した。水位の差 H は 200 mm であった。気体容器内のゲージ圧力(kPa)として、最も近い値はどれか。ただし、水の密度は 1000 kg/m³、重力加速度は 10 m/s² とする。

(1) 0.02 (2) 0.2 (3) 2 (4) 20 (5) 200
答え(3) 2
この問題は、マノメーターの原理を使って、水柱による圧力差を計算するものです。
与えられた値
水位の差 H = 200 mm = 0.2 m
水の密度 ρ = 1000 kg/m³
重力加速度 g = 10 m/s²
圧力差(ゲージ圧力)を計算
液柱による圧力は以下の式で与えられます:
P = ρgH = 1000×10×0.2 = 2000 Pa
Pa → kPa に変換:
2000Pa = 2000/1000 = 2 kPa
問7 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 仕事率とは、単位時間内にどれだけのエネルギーが使われているかを表す物理量であり、単位はジュール(J)である。
(2)完全な真空を 0 点とした測定圧力を、絶対圧力という。
(3) 1 MPa は 1 Pa の 1,000,000 倍である。
(4) 液化ガスが容積一定の密閉容器に充てんされている場合、充てん量にかかわりなく、液化ガスの組成と温度により決まる飽和蒸気圧を示す。
(5) 一般に流動水の場合の熱伝達係数は、流動空気の場合より大きい。
答え(1)
仕事率とは、単位時間内にどれだけのエネルギーが使われているかを表す物理量であり、単位は「W」または「J/s」である。
問8 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ある物質の温度は、その物質の持つ熱エネルギーの量によって定まる。
(2) ふく射伝熱は、熱媒体を介しない伝熱過程である。
(3) 対流伝熱では、移動する流体と共に熱も移動する。
(4) 理想気体の体積は、一定圧力のもとで温度 1°C の上昇につき 0°C における体積のおよそ 1/273 ずつ増加する。
(5) 理想気体を等温条件下で体積が 1/100 になるまで圧縮すると、ゲージ圧力は 100 倍になる。
答え(5)
理想気体を温条件下で体積が 1/100 になるまで圧縮すると、絶対圧力は 100 倍になる。
問9 温度 27°C、圧力 0.6 MPa の理想気体を体積一定のもとで加熱し、温度 127°C としたときの圧力(MPa)として、最も近い値はどれか。
(1) 0.5 (2) 0.6 (3) 0.7 (4) 0.8 (5) 0.9
答え(4)0.8
この問題は、体積一定の条件下での理想気体の状態変化なので、ボイル・シャルルの法則を使います。
使用する公式(体積一定のとき):
P1/T1 = P2/T2
※温度は **絶対温度(K)**で計算します。
⑴:与えられた値を整理
初期圧力 P1 = 0.6 MPa
初期温度 T1 = 27℃ = 27+273 = 300K
最終温度 T2 = 127℃ = 127+273 = 400K
⑵:圧力を計算
P2 = P1×(T2/T1) = 0.6×(400/300)
= 0.8MPa
問10 ガスの付臭剤として要求される性質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 水に溶けやすい物質であること。
(2) 土壌に対する透過性が大きいこと。
(3) 毒性のないこと。
(4) 完全に燃焼し、燃焼後に有害な、あるいは臭気を有する物質を残さないこと。
(5) 嗅覚疲労を起こしにくいこと。
答え(1)
水に溶けにくい物質であること。
問11 ガスの燃焼に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 燃焼範囲は、通常、空気と可燃性ガスとの混合気体中の可燃性ガスの体積パーセントで表される。
(2) 可燃性成分だけからなる混合ガスの燃焼範囲は、ルシャトリエの式から近似的に求められる。
(3) 燃焼範囲は、温度が高い場合は広くなり、温度が低くなると狭くなる。
(4) 燃焼範囲内のガスでも、容器が小さいと器壁の冷却効果の影響を受けて燃焼が維持できなくなる場合がある。
(5) 同一の温度、圧力において、水素の最大燃焼速度は、メタン、プロパン、ブタンの燃焼速度より小さい。
答え(5)
同一の温度、圧力において、水素の最大燃焼速度は、メタン、プロパン、ブタンの燃焼速度より大きい。
問12 メタン 160 kg を完全燃焼させたときに生成する二酸化炭素の質量(kg)として、最も近い値はどれか。
(1) 220 (2) 360 (3) 440 (4) 620 (5) 800
答え(3) 440
(1):メタンの燃焼反応式
CH₄+2O₂ → CO₂+2H₂O
この式から分かること:
メタン 1 mol → CO₂ 1 mol
(2):メタンとCO₂のモル質量
メタン(CH₄):12 + 1×4 = 16 g/mol
二酸化炭素(CO₂):12 + 16×2 = 44 g/mol
(3):モル数の比から質量比を求める
メタン 16 g → CO₂ 44 g
→ 質量比は、
44/16 = 2.75
(4):160 kg のメタンで生成する CO₂ の質量を計算
160×2.75 = 440kg
問13 液化ガスの気化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 液体の表面から気化する現象を沸とう、液体の内部から気化する現象を蒸発という。
(2) 温度上昇のみに費やされる熱量は顕熱である。
(3) 相変化のみに費やされる熱量は潜熱である。
(4) 温度上昇を伴わずに気化させる際に必要な熱量を気化熱という。
(5) 気化方式には、人為的に熱量を加える強制気化方式と、液化ガス自身の保有する熱量や容器壁等を通じ大気から得られる熱量でまかなわれる自然気化方式がある。
答え(1)
液体の表面から気化する現象を蒸発、液体の内部から気化する現象を沸とうという。
問14 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 密度の逆数、即ち単位質量あたりの容積を比容積という。
(2) ガスの質量を、そのガスと同温度、同圧力・同容積の空気の質量と比較した値を、ガスの比重という。
(3) ラウールの法則によれば、混合液体の全蒸気圧は、溶液中の混合分子が単独で存在するときの圧力に、混合液中のそれぞれのモル分率を乗じて得られた積の和に等しい。
(4) 液化ガス(プロパン)の蒸気圧は、温度が上昇すれば低くなり、温度が降下すれば高くなる。
(5) 液の密度と、4°Cの水の密度との比を、液比重という。
答え(4)
液化ガスの蒸気圧は温度が上昇すれば高くなり、温度が降下すれば低くなる。
問15 同一体積のプロパンとブタンをそれぞれ完全燃焼させた場合、ブタンの理論空気量(m³)はプロパンの理論空気量(m³)の何倍になるか。ただし、気体はいずれも標準状態(0°C、0.1 MPa)とする。
(1)0.6 (2)0.7 (3)1.3 (4)1.6 (5)1.9
答え(3)1.3
プロパン(C3H8)の燃焼反応式
C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O
→ 酸素 5 mol 消費
ブタン(C4H10)の燃焼反応式
C4H10 + 6.5O2 → 4CO2 + 5H2O
→ 酸素 6.5 mol 消費
※標準状態では、同一体積の気体は同じモル数とみなせる
→ 酸素消費量の比 = 理論空気量の比
ブタンの理論空気量 / プロパンの理論空気量 = 6.5 / 5 = 1.3