2022年度 甲種 基礎理論 過去問クイズ(一問一答形式) ガス主任技術者試験

2022年度ガス主任技術者試験(甲種)に出題された過去問を、解説付きで試験と同様全15問をクイズ形式でご用意しました。

ぜひ最後までチャレンジしてみてください。

問1 物質の性質に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

⑴ 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を低くする作用をもたらす。

⑵ 液体や気体が流動するとき各部分が互いに引き合い混ざり合う程度は、粘度で表され、単位はPa/sである。

⑶ 固体、液体、気体の3つの状態が共存する温度及び圧力の条件を三重点といい、水の三重点の温度は0℃より低い。

⑷ ラウールの法則によれば、液体に不揮発物質を溶解した希薄溶液の蒸気圧は、その不揮発物質のモル分率に比例して上昇する。

⑸ 多原子気体を熱する際に与えられた熱エネルギーは、気体分子全体が運動する並進運動エネルギーの増加に使われるが、気体分子内の回転運動及び振動運動エネルギーに使われることはない。

答え

答え1

2 ×

粘度の単位はPa•s

3 ×

水の三重点の温度は0℃より高い

4 ×

ラウールの法則によれば、液体に不揮発物質を溶解した希薄溶液の蒸気圧は、その不揮発物質のモル分率に比例して低下する。

5 ×

多原子気体を熱する際に与えられた熱エネルギーは、気体分子全体が運動する並進運動エネルギーの増加に使われるかつ、気体分子内の回転運動及び振動運動エネルギーにも使われる

問2 メタン20kgとエタン15kgの混合ガスの容内における全圧が200kPaのとき、メタンの分圧(kPa)として、最も近い値はどれか。ただし、この混合ガスは理想気体とする。

⑴ 50

⑵ 100

⑶ 140

⑷ 180

⑸ 190

答え

答え3

メタンCH4:16(kg/kmol)

20kg / 16(kg/kmol)=1.25(kmol)

エタンC2H6:30(kg/kmol)

15kg / 30(kg/kmol)=0.5(kmol)

メタンの分圧(kPa)=200 kPa×1.25 kmol  / (1.25 kmol+0.5 kmol)

≒140(kPa)

問3 温度27°C、体積3m^3、圧力100kPaの理想気体を定圧膨張させて4m^3にした。このとき気体に与えられた熱量(kJ)として、最も近い値はどれか。ただし、気体定数を8.3J/(mol•K)、この気体の定積モル熱容量を20J/(mol•K)とする。

⑴ 2.8

⑵ 140

⑶ 240

⑷ 340

⑸ 1400

答え

答え4

(27+273)K/  3m^3 = T / 4

T=400K

気体の状態方程式より、n = P•V / R•T

n=100×3 / 8.3×300

n≒0.12

定圧膨張のため、Q=n•Cp•ΔT

Cp = Cv+R

ΔT = T2-T1 = 400-300

Q = 0.12×(20+8.3)×100

Q=339

Q≒340(kJ)

問4 熱力学に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

⑴ ジュール・トムソン膨張では、系のエンタルピーは一定に保たれる。

⑵ エントロピーは状態量であり、系がある状態から別の状態に移るときのエントロピー変化は、変化前後の状態のみで決まる。

⑶ 標準エントロピーとは、標準状態におけるエントロピーであり、その値は常に負となる。

⑷ 定圧モル熱容量と定積モル熱容量の比を比熱比という。

⑸ 物質1kgあたりの熱容量を、比熱容量という。

答え

答え3

標準エントロピーとは、標準状態におけるエントロピーであり、その値は常にとなる。

問5 1枚のセルで構成される水素を燃料とした燃料電池を製作し、メタンを水蒸気改質して製造した水素すべてを燃料として発電を行い、電流を192A取り出した。メタンの流量(mol/s)として、最も近い値はどれか。ただし、投入したメタンはすべて水蒸気改質されて水素と二酸化炭素になるものとし、また、ファラデー定数は96000C/mol、水素の電荷数は1mol分子あたり2molとする。

⑴ 1.3×10^-4

⑵ 2.5×10^-4

⑶ 5.0×10^-4

⑷ 1.0×10^-3

⑸ 4.0×10^-3

答え

答え2

a (mol/s) = 192A ÷ (2×96000C/mol)

a = 10^-3(mol/s)

メタンを水蒸気改質は、

CH4+2H2O→4H2+CO2

水素1molを作るのに0.25molのメタンが必要。

10^-3(mol/s)×0.25

=2.5×10^-4(mol/s)

問6 化学反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

⑴ アレニウスの式によれば、速度定数の対数と絶対温度の逆数は直線関係を示す。

⑵ 発熱反応が平衡状態にあるとき、反応温度を下げると、反応熱を発生させる方向へ反応が進行して、新たな平衡状態になる。

⑶ 温度一定の条件では、一次反応において反応速度は反応物質の濃度に比例する。

⑷ 一次反応の半減期は、反応のどの時点から測っても同じである。

⑸ 触媒は、化学平衡状態に影響を与え、反応速度を増加させる機能を持つ。

答え

答え5

触媒は、化学平衡状態に影響を与えない

問7 メタンを空気で完全燃焼させたところ、乾き燃焼ガス中の酸素濃度が10vol%であった。このときの空気比として、最も近い値はどれか。ただし、空気中の窒素と酸素の体積比は4:1とする。

⑴ 1.1

⑵ 1.8

⑶ 1.9

⑷ 2.0

⑸ 2.1

答え

答え3

CH4+2O2→CO2+2H2Oより

過剰酸素:2(a-1) mol

窒素:2a×4/1 mol = 8a

2(a-1) / {1+2(a-1)+8a} = 0.1

a=1.9

問8 プロパン44kgを空気比1.4で完全燃焼させたとき、燃焼ガス中の酸素の質量(kg)として、最も近い値はどれか。ただし、空気中の窒素と酸素の体積比は4:1とする。

⑴ 2

⑵ 7

⑶ 32

⑷ 64

⑸ 224

答え

答え4

C3H8+5O2→3CO2+4H2O

プロパン44kgは、1kmol

酸素1kmolは32kg

プロパンを1kmol燃焼させるのに酸素は5kmol必要なので

5×32×(1.4-1.0)

=64kg

問9 ガスの燃焼方式に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

⑴ 燃料のみをバーナーから吹き出させ、周囲の空気と混合させながら.燃焼させる方式を拡散燃焼という。

⑵ 拡散燃焼は、バーナー内部で予混合気が形成されないため、逆火のおそれがある。

⑶ 燃料と空気を混合させた可燃予混合気をバーナーから吹き出させて燃焼させる方式を予混合燃焼という。

⑷ プンゼン火災は部分予混合機焼の代表例であり、内炎と外炎による二重火炎が形成される。

⑸ 予混合燃焼においては、部分予混合燃焼は火炎安定性に優れており、完全予混合燃焼は燃焼ガス中のNOx濃度が低い。

答え

答え2

拡散燃焼は、バーナー内部で予混合気が形成されないため、逆火のおそれがない

問10 あるオリフィスメーターに窒素を流量100m^3/hで流したとき、差圧が2.8kPaであった。このオリフィスメーターにメタンを流して、差圧が3.2kPaになったときのメタンの流量(m^3/h)として、最も近い値はどれか。ただし、いずれのガスを流したときも、温度、圧力の条件は同じで、オリフィスの流量係数も変わらないものとする。また、いずれのガスも理想気体として取り扱えるものとする。

⑴ 70

⑵ 90

⑶ 100

⑷ 120

⑸ 140

答え

答え5

空気:28.8mol

メタン比重γ=16/28.8

=0.56

窒素比重γ=28/28.8

=0.97

オリフィスメーターの流量の公式より

Q=K√(P1-P2)/√γを用いる

窒素の流量:100=K√(2.8/0.97)

K=100/√(2.8/0.97)

メタンの流量

Q=K√(3.2/0.56)

窒素の流量から求めた比例定数Kを用いて

Q=100/√(2.8/0.97)×√(3.2/0.56)

≒140 m^3/h

問11 直円管に空気を流したときのレイノルズ数が2000であった。同じ直円管に水を流したところ、平均流速は空気を流したときの1/4になった。このときのレイノルズ数として、最も近い値はどれか。ただし、空気の動粘度は16mm^2/s、水の動粘度は0.8mm^2/sとする。

⑴ 10000

⑵ 20000

⑶ 40000

⑷ 50000

⑸ 80000

答え

答え1

Re=v•d/μを用いる

Re:レイノルズ数

v:平均流速

D:管径

μ:動粘度

空気の平均流速と管径を求める

v•d=Re•μより

v•d=2000×16

v•d=32000

水のレイノルズ数Re=v•d/μ

平均流速は空気を流したときの1/4

先ほど求めた式より

Re=v•d/μ

Re=1/4×32000×0.8

=10000

問12 伝熱に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

⑴ 伝熱現象には熱伝導、対流熱伝達、熱放射の3つの形態があり、これらの形態が組み合わさった現象もある。

⑵ 熱伝達率は、物質固有の値であり、流体の流れの状態によって変化しない。

⑶ 沸騰・凝縮等の相変化のある場合の熱伝達率は、相変化を伴わない場合の熱伝達率より大きい傾向がある。

⑷ 熱放射では、真空中においても伝熱する。

⑸ 隔壁を通して高温流体から低温流体へ熱エネルギーを移動させる伝熱装置を、熱交換器として用いることがある。

答え

答え2

熱伝達率は、物質固有の値ではなく、流体の流れの状態によって変化する

問13 熱交換器において高温流体の入口温度が190°Cで出口温度が45°Cであった。低温流体の入口温度が15°C、低温流体の温度効率が0.4のとき、低温流体の出口温度(°C)として、最も近い値はどれか。

⑴ 80

⑵ 85

⑶ 90

⑷ 95

⑸ 100

答え

答え2

低温流体の温度効率=(低温流体の出口温度-低温流体の入口温度 / 高温流体の入口温度-低温流体の入口温度)

より

0.4=a-15/190-15

a=85

問14 次の気体と、その沸点近くの温度で使用される金属材料の組合せとして、最も不適切なものはどれか。

   気体   金属材料

⑴ iーブタン 炭素鋼(Siキルド)

⑵ プロパン 炭素鋼(A1 キルド)

⑶ エタン  3.5%Ni鋼

⑷ メタン  炭素鋼(リムド)

⑸ 水素   A1合金

答え

答え4

メタンでは、9.0%Ni鋼が用いられる。

問15 直径16mmの円柱の延性材料の試験片について、常温で引張試験を行った。降伏点での引張力が20000Nであったとき、引張応力(MPa)として、最も近い値はどれか。

⑴ 25

⑵ 38

⑶ 50

⑷ 75

⑸ 100

答え

答え5

引張応力δ=P/A

A=π•d^2/4

P:引張力

A:断面積

π:円周率

d:直径

δ=2000 / 3.14×16^2×1/4

δ≒100(MPa)

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