2022年度ガス主任技術者試験乙種の供給科目に出題された過去問を、解説付きで試験と同様全9問をクイズ形式でご用意しました。
ぜひ最後までチャレンジしてみてください。
問1 A点からB点に低圧のガス100m^3/hを供給する導管AB(口径10cm、延長200m)がある。このとき、A点の圧力2.3kPa、B点の圧力2.1kPaであった。(図1)
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今、図2のように、新たにC点にガス400m^3/hを供給することとなり、導管AC(口径20cm、延長400m)を新設した。A点の圧力2.3kPaのとき、C点の圧力(kPa)として最も近い値はどれか。なお、高低差は考慮しないものとする。
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⑴ 1.7 ⑵ 1.8 ⑶ 1.9 ⑷ 2.0 ⑸ 2.1
答え5
低圧導管の公式
Q=K√(1000•H•D^5) / √(S•L•g)を用いる
Q:ガス流量 D:導管口径 L:導管延長 H:地点ごとの圧力差
S:ガス比重 K:流量係数 G:重力加速度
C点の圧力をC、B点の圧力をBとする
図1
100=K√(1000×(2.3-2.1)×10^5)/√(S×200×g)
図2
400=K√(1000×(2.3-C)×20^5)/√(S×400×g)
Cが2.1なら図1の公式と同じになるので
答え2.1
問2 整圧器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 圧力上昇防止装置は、整圧器の故障により、二次側の圧力が異常に上昇することを防止するために用いられる。
⑵ 直動式整圧器におけるメインバルブシートの不具合により、二次圧力が異常上昇した。
⑶ 整圧器能力不足により、二次圧力が異常低下した。
⑷ フィルターのダスト類の詰りにより、二次圧力が異常低下した。
⑸ 直動式整圧器におけるメインバルブへのダスト類のかみ込みによる締め切り不良により、二次圧力が異常低下した。
答え5
直動式整圧器におけるメインバルブへのダスト類のかみ込みによる締め切り不良により、二次圧力が異常上昇した。
問3 ガスメーターに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ マイコンメーターはメーターに流れるガスの流量を監視し、あらかじめ設定した条件によって異常と判定した場合、自動的にガスを遮断する機能を備えている。
⑵ 使用最大流量が16m^3/hのガスメーターの検定有効期間は、検定を受けた翌月1日から起算して10年である。
⑶ ガスメーターが計量法の規定による検定を受ける際の検定公差は、流量によらず±1.5%である。
⑷ ガスメーターとしての必要条件の一つに、小型で容量が大きいことがある。
⑸ ガスメーターの種類のうち超音波式は、流量を推測計量するものである。
答え3
ガスメーターが計量法の規定による検定を受ける際の検定公差は、流量によって違いがある。
問4 口径400mmの鋼管を用い、長さ50mで両端固定された架管を冬期(管体温度は-10°C)に設置することになった。夏期に架管全体の温度が40°Cになるときに生じる応力を、架管途中に設けた伸縮継手で対処する場合、設計変位量(mm)として最も近い値はどれか。ただし、導管の線膨張係数は1.2×10^-5(1/°C)、内圧は0.3(MPa)、ヤング率は2.1×10^5(N/mm^2)とする。
⑴ 9 ⑵ 24 ⑶ 30 ⑷ 40 ⑸ 126
答え3
50m=50000mm
設計変位量(mm)=1.2×10^-5×{40-(-10)}×50000
=30 mm
問5 腐食と防食に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 建物に引き込まれた配管は、ミクロセル腐食の原因となるコンクリートに接触する機会が多いため、一般に埋設配管部近くの架空配管部に絶縁継手を設置する。
⑵ 防食設備の点検は、雨期等の土壌の湿潤期や電気鉄道の運行時等、防食状況の悪い時期や時間帯を選んで行うことが望ましい。
⑶ 電解質中の鉄とマグネシウムを接続すると、自然電位がプラス側の鉄がカソードとなり、マグネシウムがアノードとなる。
⑷ 管対地電位の測定では、照合電極は通常、飽和硫酸銅電極が用いられ、散水で土壌等との接地抵抗を下げて設置する。
⑸ 選択排流法、強制排流法のいずれの方式も、他の金属構造物への干渉及び過防食を考慮する必要がある。
答え1
⑴ ×
建物に引き込まれた配管は、マクロセル腐食の原因となるコンクリートに接触する機会が多いため、一般に埋設配管部近くの架空配管部に絶縁継手を設置する。
問6 導管の工事に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 電気防食を施した鋼管の切断にあたっては、火花が出ないように電気防食施設の電源を切っておき、さらに切断予定箇所の両端を短絡させる。
⑵ 導管工事の着工準備にあたっては、資機材に不足のないように確認するとともに、掘削機械、ポンプ、転圧機、保安設備等の整備・点検を行う。
⑶ 酸素欠乏のおそれのある場所において作業を行う場合は、異常時に直ちに応急措置及び関係者への通報ができるよう作業を2人以上で行う。
⑷ 溶接部等の放射線透過試験を行う場合は、非破壊試験技術者を選定しなければならない。
⑸ 非開削工法の特徴の一つは、路上工事の縮減により交通への影響を低減できることである。
答え4
溶接部等の放射線透過試験を行う場合は、X線作業主任者を選定しなければならない。
問7 溶接と非破壊試験に関する次の記述のうち、いずれも正しいものの組合せはどれか。
イ 被覆アーク溶接棒の心線は、大気中に放置すると水分を吸収し、ブローホール等の欠陥の原因となる。
ロ 溶接施工法は、溶接事業所又は工場ごとに確認を受けなければならない。
ハ 被覆アーク溶接とは、溶接棒と母材との間にアークを発生させ、その熱によって溶接棒のみを溶かすことにより溶接を行うものである。
二 磁粉探傷試験は、表面付近のきずの発見法として、非常に簡便であり、表面から数mm以内のきずの高さを容易に測定できる。
ホ 開先不良は、溶込み不良や割れ等の原因となる。
⑴イ、ハ ⑵イ、ホ ⑶ロ、ニ ⑷ロ、ホ ⑸ハ、ニ
答え4
イ ×
被覆アーク溶接棒の被覆材は、大気中に放置すると水分を吸収し、ブローホール等の欠陥の原因となる。
ハ ×
被覆アーク溶接とは、溶接棒と母材との間にアークを発生させ、その熱によって溶接棒と母材を溶かすことにより溶接を行うものである。
二 ×
磁粉探傷試験は、表面付近のきずの発見法として、非常に簡便であるが、きずの高さを測定することができない。
問9 ガス導管の維持管理に関する次の記述のうち、いずれも正しいものの組合せはどれか。
イ 支管供給管一括抽水装置は、初期採水は強力なバキューム圧を発生するエジェクターを使用し、後期抽水はピグを使用し管内の水たまりを移動させ、完全に排水させる。
ロ スプレーシール工法は、ガス栓等からシール剤を噴射することで管内面に膜を形成し、腐食漏えい箇所を修理する工法である。
ハ 水素炎イオン化式ガス検知等は、水素炎の中に炭化水素が入ると、炎の電気伝導度が増大する現象を利用したもので、H2、CO等は検出できない。
ニ マッピングシステムは、地図情報、本支管等設備の位置や管理情報(口径、管種等)、地域管理情報をレイヤーに区分しデータベース化したシステムであり、様々な業務に活用できる。
ホ パイプロケーターは、誘導法の方が直接法より精度的に優れている。
⑴イ、ハ ⑵イ、ホ ⑶ロ、ニ ⑷ロ、ホ ⑸ハ、ニ
答え5
イ ×
支管供給管一括抽水装置は、初期採水は強力なバキューム圧を発生するエジェクターを使用し、後期抽水は管内流速を高めるエア増幅型のエジェクターを使用し、管内の差し水を移動させ、完全に排水させる。
ロ ×
スプレーシール工法は、ガス栓等からシール剤を噴射することで管内面に膜を形成し、ねじ接合部の漏れを修繕する工法である。
ホ ×
パイプロケーターは、直接法の方が誘導法より精度的に優れている。
問9 地震により低圧導管の供給を停止した地域の復旧作業の基本フローとして最も適切なものはどれか。
A:復旧ブロック化
B:本支供灯外内管のエアパージ
C:供給管切断
D:灯内内管の漏えい検査・修理
E:本支供灯外内管のテスト昇圧
F:本支供灯外内管の差水箇所修理・採水
G:本支供灯外内管の漏えい調査・漏えい修理
⑴閉栓→E→A→B→C→D→E→F→G→開栓
⑵閉栓→A→C→F→E→G→E→B→D→開栓
⑶閉栓→A→C→F→B→E→G→E→D→開栓
⑷閉栓→B→A→C→F→E→G→E→D→開栓
⑸閉栓→E→G→F→A→C→E→B→D→開栓
答え2