2021年度ガス主任技術者試験(甲種)に出題された過去問を、解説付きで試験と同様全15問をクイズ形式でご用意しました。
ぜひ最後までチャレンジしてみてください。
問1 気体の圧縮係数に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 圧縮係数は圧縮比と同じである。
⑵ 圧縮係数は換算温度と換算圧力の関数である。
⑶ 圧縮係数は、理想気体の法則を修正し、実在気体を取り扱うための補正係数である。
⑷ 1molあたりで比較すると、圧縮係数が1より大きい気体の圧力は、同じ温度、同じ体積の理想気体の圧力より大きくなる。
⑸ 1molあたりで比較すると、 圧縮係数が1より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる。
答え1
⑴ ×
圧縮係数とは、実在気体と理想気体のズレを修正する補正係数。
圧縮比とは、圧縮する前と後の気体の体積比。
問2 容積20m^3の容器に、温度27℃で、窒素と水素が総量で40kg入っている。 この混合気体において圧力が0.3MPaであるとき、体積基準での水素の割合(%)として、最も近い値はどれか。ただし、気体は理想気体とし、気体定数は8.3J/(m•K)とする。
⑴22 ⑵28 ⑶33 ⑷38 ⑸44
答え5
混合気体の状態方程式より、PV=(n1+n2)RT
0.3×10^6×20=(n1+n2)×(8.3×(27+273))
(n1+n2)=2.4 kmol
総量で40kgなので、n1を水素、n2を窒素とすると
40=n1×2+(2.4-n1)×28
n1=1.05 kmol
水素の割合は、
1.05/24
=43.75%
≒44%
問3 容積一定の容器に入った空気300kgを、都市ガスの燃焼により温度300Kから900Kに外部から加熱した。このとき、燃焼に使用した都市ガスの体積(m^3)として、最も近い値はどれか。ただし、都市ガスの体積(m^3)として、最も近い値はどれか。ただし、都市ガスは標準状態(0℃、101325Pa)とし、空気の定積比熱容量を0.7kJ/(kg•K)、都市ガスの発熱量を45 MJ/m^3、熱効率を70%とする。
⑴1.5 ⑵2.0 ⑶3.2 ⑷4.0 ⑸4.5
答え4
Q=300kg×0.7kJ/(kg•K)×(900-600)/1000
=126 MJ
126MJ/(45MJ/m^3×0.7)
=4.0 m^3
問4 エントロピーに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 系がある状態から別の状態に移るときのエン卜ロピー変化量は、途中の経路にはよらない。
⑵ エン卜ロピーの次元は[エネルギー]/[温度]である。
⑶ 理想気体では、定圧条件において温度を上昇させるとエン卜ロピーは増加する。
⑷ 孤立系の不可逆過程において、エン卜ロピーは常に増大する。
⑸ 等温、定圧で2種の理想気体を混合するとき、エン卜ロピーは減少する。
答え5
等温、定圧で2種の理想気体を混合するとき、エン卜ロピーは増大する。
問5 気体のメ夕ンとプロパンを体積比1:1で混合したガス1molを完全燃焼したときに発生する熱(kJ)として、最も近い値はどれか。ただし、燃焼に関わる物質の標準生成熱(kJ/mol) は以下のとおりとし、(g)は気体状態を、(l)は液体状態を示す。
CH4(g):-75 C3H8(g):-104 O2(g):0
CO2(g):-394 H2O(l):-286
⑴900 ⑵1200 ⑶1600 ⑷2400 ⑸3200
答え3
反応熱=(生成物の生成熱の和)-(反応物の生成熱の和)なので
メタンの燃焼の化学反応式
CH4+2O2→CO2+2H2O
反応熱は、
-394+(-286)×2-(-75)+0×2
=-891
プロパンの燃焼の化学反応式
C3H8+5O2→3CO2+4H2O
-394×3+(-286)×4-(-104)-0×5
=-2222
体積比1:1で混合したガス1molなので
891×0.5+2222×0.5
=1556.5kJ
≒1600kJ
問6 メタン及び水素が完全燃焼する反応(気体状態)の標準反応熱を、それぞれ-801kJ/mol、-242kJ/molとするとき、以下に示す反応の標準反応熱(kJ/mol)として、最も近い値はどれか。ただし、(g)は気体状態を示す。
CH4(g)+2H2O(g)→CO2(g)+4H2(g)
⑴559 ⑵-167 ⑶167 ⑷559 ⑸1043
答え3
CH4+2O2=CO2+2H2Oは、標準反応熱-801kJ/mol
H2+1/2O2=H2Oは、標準反応熱-242kJ/mol
となるので、4H2+2O2=4H2Oは、-242×4=-968kJ/mol
式を合わせることで反応熱を導くことができるので
CH4をa
O2をb
CO2をc
H2Oをd
H2をe
としてCH4+2O2=CO2+2H2Oから4H2+2O2=4H2Oを引くと
a+2b=c+2d
-(4e+2b=4d)となり
a+2d=c+4eとなる
問題文のCH4+2H2O→CO2+4H2と同じ式になるので
-801-(-968)
=167kJ/molとなる。
問7 可燃性ガスの爆発に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 爆発反応は、光や音、あるいは衝撃的圧力を伴う。
⑵ 爆発現象は爆燃、爆ごうに分類され、燃焼反応領域の伝播速度が、爆燃は超音速、爆ごうは亜音速である。
⑶ 爆発反応は、 可燃性ガスと空気が適当な濃度範囲で混合され、かつ外部から何らかの方法でエネルギーが与えられることにより起こりうる。
⑷ 爆ごうを起こしうる可燃性ガスの濃度範囲を爆ごう範囲といい、爆発範囲の内側にある。
⑸ 爆ごうは衝撃波を伴う現象である。
答え2
爆発現象は爆燃、爆ごうに分類され、燃焼反応領域の伝播速度が、爆燃は亜音速、爆ごうは超音速である。
問8 メ夕ン80vol%、エタン12vol%、プロパン8vol%からなる混合ガスの空気中における燃焼下限界(vol%)として、最も近い値はどれか。ただし、同条件における単体ガスの燃焼下限界は、メ夕ン5vol%、エタン3vol%、プロパン2vol%とする。
⑴4.2 ⑵4.3 ⑶4.4 ⑷4.5 ⑸4.6
答え1
ルシャトリエの式より、
1 / (80/5+12/3+8/2)
≒4.2(vol%)
問9 メ夕ンと水素の体積比が4:1の混合ガスを空気比1で完全燃焼させたとき、乾き燃焼ガス中の二酸化炭素の濃度(vol%)として、最も近い値はどれか。
⑴8.5 ⑵11 ⑶25 ⑷31 ⑸100
答え2
CH4+2O2→CO2+2H2O
H2+1/2O2→H2O
上記より、燃焼ガス中の成分は、窒素、二酸化炭素となる。
体積比が4:1なので、メタン4m^3、水素1m^3と仮定すると、
理論酸素量は、2×4+1/2=8.5m^3なので、窒素は酸素の約4倍なので、8.5×4=34m^3
二酸化炭素は、1×4=4m^3
となるので、
燃焼ガス中の二酸化炭素の濃度は、
4 / (34+4)
≒11 vol%
問10 150mmの直円管の中を平均流速2m/sでガスが流れているとき、損失へッドが0.3mであった。この直円管の長さ(m)として、最も近い値はどれか。ただし、管摩擦係数は0.03、重力加速度は10m/s^2とし、直円管内の流れは完全に発達した状態とする。
⑴4.5 ⑵7.5 ⑶15 ⑷750 ⑸7500
答え2
ダルシーワイスバッハの式より、
Δh=λ(L/d)(v^2/2g)
Δh:損失へッド(m)
λ:管摩擦係数
L:直円管の長さ(m)
d:管内径(m)
v:平均流速(m/s)
g:重力加速度(m/s^2)
L=7.5 m
問11 ピトー管を用いて気体の流速を測定したところ、ピトー管につないだマ丿メー夕ーの液面高さの差は13mmであった。気体の密度は1.04kg/m^3、マ丿メー夕ー内の液体の密度は800kg/m^3であるとき、気体の流速(m/s)として、最も近い値はどれか。ただし、 重力加速度は10m/s^2 とする。
⑴4 ⑵10 ⑶12 ⑷14 ⑸20
答え4
ベルヌーイの式より、
u=√2(ρ`-ρ)•g•H / √ρ
より、
u=14 m/s
問12 厚さ50mm、熱伝導率1.2W/(m•K)のコンクリート壁に囲まれた部屋がある。この壁と室内空気との問の熱伝達率が10W/(m^2•K)、壁と外気との間の熱伝達率が25W/(m^2•K)であるとき、コンクリー卜壁の熱通過率(W/(m^2•K))として、最も近い値はどれか。
⑴0.02 ⑵0.04 ⑶0.23 ⑷2.50 ⑸5.50
答え5
K=1 / (1/10+0.05/1.2+1/25)
=5.50 w/m^2•K
問13 凹凸形にプレスされた伝熱板をガスケットではさんで重ね合わせ、伝熱板の間を交互に2つの流体が流れるようにした構造の熱交換器は、次のうちどれか。
⑴ ブロック形熱交換器
⑵ ジャケット形熱交換器
⑶ プレート形熱交換器
⑷ 二重管式熱交換器
⑸ 単管式熱交換器
答え3
プレート形熱交換器
問14 熱硬化性樹脂に関する次の記述について、「 」の中の(イ)〜(ニ)にあてはまる語句の組合せとして最も適切なものはどれか。
熱硬化性樹脂 は、 「イ」あるいは架橋剤によって分子同士が三次元的に結合した樹脂であり、加熱によってさらに三次元化が進み、不溶、不融となる性質を有する。 反応は「ロ」であり、 一般に成形は「ハ」。用途としては、「ニ」等が配管等の内面コーティング、ライニングの材料として多用されている。
⑴ (イ)硬化剤 (ロ)不可逆的 (ハ)一回しか行えない (ニ)エポキシ樹脂
⑵ (イ)硬化剤 (ロ)不可逆的 (ハ)一回しか行えない (ニ)オリエチレン樹脂
⑶ (イ)硬化剤 (ロ)可逆的 (ハ)何回も行える (ニ)エポキシ樹脂
⑷ (イ)可塑剤 (ロ)可逆的 (ハ)何回も行える (ニ)エポキシ樹脂
⑸ (イ)可塑剤 (ロ)可逆的 (ハ)何回も行える (ニ)ポリエチレン樹脂
答え1
(イ)硬化剤 (ロ)不可逆的 (ハ)一回しか行えない (ニ)エポキシ樹脂
問15 材料の特性と力学的性質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ クリープは、一定応力の下で時間とともにひずみが増加する現象である。
⑵ 引張応力は、力に比例し、原断面積に反比例する。
⑶ 炭素鋼は、一般に450℃以上では強度が著しく低下する。
⑷ アルミニウム合金は、低温用材料として用いることができる。
⑸ フェライ卜鋼のような体心立方晶の金属には、低温ぜい性は認められない。
答え5
フェライ卜鋼のような体心立方晶の金属には、低温ぜい性が発生する。
オーステナイト鋼のような面心立方晶の金属には、低温ぜい性は認められない。