2021年度ガス主任技術者試験甲種の供給科目に出題された過去問を、解説付きで試験と同様全9問をクイズ形式でご用意しました。
ぜひ最後までチャレンジしてみてください。
問1 A点からB点にガスを200m^3/h供給している低圧導管AB(口径20cm、延長200m)がある。このとき、A点の圧力PAは2.3kPa、B点の圧力PBは2.1kPaであった。(図1)
今、図2のようにAB間の中問点(A点から100m)のC点にもガスを200m^3/h供給することになった。 A点の圧力PAが2.3kPaのとき、B点の圧力PB(kPa)として最も近い値はどれか。ただし、高低差は考慮しないものとする。
⑴1.5 ⑵1.6 ⑶1.7 ⑷1.8 ⑸1.9
答え4
低圧導管の式
Q=K√(1000•H•D^5) / √(S•L•g)を用いる
Q:ガス流量 D:導管口径 L:導管延長 H:地点ごとの圧力差
S:ガス比重 K:流量係数 G:重力加速度
C点の圧力をC、B点の圧力をBとする
図1
200=K√(1000×(2.3-2.1)×20^5)/√(S×200×g)
図2 A-C地点
400=K√(1000×(2.3-C)×20^5)/√(S×100×g)
Cが1.9なら図1の公式と同じになるので
圧力降下は、0.4kPa
図2 C-B地点
200=K√(1000×(1.9-B)×20^5)/√(S×100×g)
Bが1.8なら図1の公式と同じになるので
圧力降下は、0.1kPa
0.4+0.1=0.5kPa
2.3-0.5
=1.8 kPa
問2 整圧器に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 直動式整圧器は、二次圧力を駆動圧力としているため、作動最小差圧を考慮する必要がある。
ロ 分解点検完了後は、ピーク時間帯の作動状況を調ベ、異常の無いことを確認することが望ましい。
ハ 負荷変動が急激、かつ、大きい一の使用者にガスを供給する整圧器には、静特性に優れた整圧器を選定する。
ニ 整圧器の特性として、オフセッ卜及びロックアップは静特性であり、安定性及びシフトは動特性である。
ホ 高圧整圧器の付属設備であるラインヒーターは、熱効率のよさ、設置面積の小ささ等の点から一般に整圧器の二次側に設置される。
答え4
イ ×
直動式整圧器は、二次圧力を駆動圧力としているため、作動最小差圧を考慮する必要がない。
ハ ×
負荷変動が急激、かつ、大きい一の使用者にガスを供給する整圧器には、動特性に優れた整圧器を選定する。
ニ ×
整圧器の特性として、オフセッ卜及びロックアップ及びシフトは静特性であり、安定性は動特性である。
ホ ×
高圧整圧器の付属設備であるラインヒーターは、熱効率のよさ、設置面積の小ささ等の点から一般に整圧器の一次側に設置される。
問3 以下の表は、主なガスメーターの種類ごとの一般的な特徴を示している。3つの特徴をすべて正しく表しているガスメー夕ーの種類はいくつあるか。
答え2
回転式は、メーターフィルターは必要。
タービン式は、メーター前後の直管は必要。
サーマルフロー式は、メーター前後の直管は不要かつメーターフィルターは必要。
問4 外径200mm、管厚5mmの導管が内圧1MPaを受ける時に生じる軸方向の応力(N/mm^2)として最も近い値はどれか。
⑴5.0 ⑵9.5 ⑶10.0 ⑷19.0 ⑸20.0
答え2
軸方向応力:PD/4t
P:内圧、D:内径、t:管厚
1×(200-5×2) / 4×5
≒9.5 N/mm^2
問5 腐食と防食に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 電解質の中にある2つの金属を接続すると電流が流れ、ア丿ードとなる金属が腐食する。
ロ ミクロセル腐食とは、金属表面においてア丿ードとカソードの部位が刻々と変化するタイプの腐食で、全面腐食となる。
ハ 導管における設計上の防食電位は、安全を考慮して、管対地電位を-1000mV(飽和硫酸銅電極基準)程度とすることが望ましい。
ニ 導管の路線上の2点間で、 管対地電位に大きな差があれば マクロセルが形成されており、電位の低い方で腐食の可能性がある。
ホ 建物に引き込まれた配管は、マクロセル腐食の原因となるコンクリートに接触する機会が多いため、 一般に埋設配管部近くの架空配管部に絶縁継手を設置する。
答え5
全て正しい。
問6 導管の工事に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ ポリエチレン管の接合方法のーつであるヒー卜フュージョン接合において、接合面のインジケー夕ーの高さ、幅等により接合後の融着状態を確認した。
ロ 架管の施工において、橋台等の壁貫通部にスリーブを設け、スリープとガス管の隙間には弾力性のあるシール材を隙間なく充てんした。
ハ 中圧導管の連絡工事にあ足り、整圧器を操作して減圧作業を行った。
ニ エアパージ作業として、気密試験完了後に管内の空気又は不活性ガスを供給ガスに置換した。
ホ 道路舗装の復旧範囲について、道路交通法に基づき、所轄の警察署と協議した。
答え2
イ ×
ポリエチレン管の接合方法のーつであるヒー卜フュージョン接合において、接合面のビードの高さ、幅等により接合後の融着状態を確認した。
ホ ×
道路舗装の復旧範囲について、道路法施行規則に基づき、道路管理者と協議した。
問7 溶接と非破壊試験に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 被覆アーク溶接は、溶接設備が安価であるが、溶接姿勢に制限を受ける。
ロ ティグ溶接は、溶加材を電極とし、不活性ガスでアーク及び溶融池を完全にシールドしているため、不純物が混入せず、 高品質な溶接が得られる。
ハ 溶接部の構造上の欠陥として、溶込み不良、融合不良、ブローホール、アンダーカッ卜等のきずがある。
ニ 放射線透過試験の二重壁片面撮影法は、 主に大口径管の場合に用いられる。
ホ 超音波探傷試験は、超音波が物質の端面や違う物質に当たると吸収される性質を利用し、内部のきずの存在や位置・大きさを検知する方法である。
答え1
イ ×
被覆アーク溶接は、溶接設備が安価であるが、溶接姿勢に制限を受けない。
ロ ×
ティグ溶接は、ダングステンを電極とし、不活性ガスでアーク及び溶融池を完全にシールドしているため、不純物が混入せず、 高品質な溶接が得られる。
ニ ×
放射線透過試験の二重壁片面撮影法は、 主に小口径管の場合に用いられる。
ホ ×
超音波探傷試験は、超音波が物質の端面や違う物質に当たると反射される性質を利用し、内部のきずの存在や位置・大きさを検知する方法である。
問8 導管の維持管理に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 接触燃焼式ガス検知器(識別型ガス検知器)は、ガス中の可燃性ガス濃度を検知することができ、メ夕ンの識別も可能である。
ロ 他工事の巡回及び立会業務に従事する者に対しては、防護基準類、各種要領、保安規程等についての教育及び訓練等を実施し、事故防止に努める。
ハ 敷地内の他工事対策の1つとして、ガス設備の資産区分、解体、改装時の注意事項等を記載したチラシ等を配付し需要家ヘの注意喚起を図る。
ニ 溶接スリーブ工法とは、高圧導管が損傷又は貫通に至った場合に、恒久的な修理を行う前の応急処置である。
ホ サンドブラス卜による供給支障は、 低圧導管のみに発生する。
答え3
ニ ×
応急修理用スリーブ工法とは、高圧導管が損傷又は貫通に至った場合に、恒久的な修理を行う前の応急処置である。
溶接スリーブ工法は、導管が未貫通の時や、微小な腐食、傷等の場合に恒久的な修理を行うもの。
ホ ×
地下水の浸透による供給支障は、 低圧導管のみに発生する。サンドブラス卜による供給支障は、 全ての導管関係なく発生する。
問9 地震対策に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 高圧導管のレベル2地震動(ガス導管の供用期問中に発生する確率は低いが、非常に強い地震勤)に対する許容ひずみは、3.0%である。
ロ マイコンメー夕ーには、ガスメーターの設置場所において200ガルの地震動を瞬間的に検知した場合に遮断する機能がある。
ハ SI値は、地震による一般的な建物の揺れの大きさを評価する指標であり、速度の単位カイン(cm/s)で表わされる。
ニ 第1次緊急停止判断の供給停止判断基準値は、 供給継続地区の想定被害数が緊急時対応能力の範囲内に収まるように、あらかじめ設定する。
ホ 移動式ガス発生設備のうち、空気吸入式(PA式)は、ボンべに圧縮・充てんされた熱量調整・付臭済みの天然ガスを供給するものである。
答え3
ロ ×
マイコンメー夕ーには、ガスメーターの設置場所において250ガルの地震動を継続的に検知した場合に遮断する機能がある。
ホ ×
移動式ガス発生設備のうち、圧縮ガス式(CNG式)は、ボンべに圧縮・充てんされた熱量調整・付臭済みの天然ガスを供給するものである。