ガス主任技術者試験乙種の消費機器科目で過去に出題された問題の中から9問抜粋しました。
問1 燃焼方式に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ ブンゼン式燃焼における炎の温度は1,800℃程度であり、赤火式燃焼より高い。
⑵ セミ・ブンゼン式燃焼における一次空気量は二次空気量より少なく、燃焼に必要な空気量の30~40%程度である。
⑶ 赤火式燃焼では逆火することがなく、赤黄色の長炎が得られる。
⑷ 触媒燃焼バーナーでは触媒マットを用いた全二次空気燃焼により、600℃以下の温度でガスを燃焼させることができる。
⑸ NOx低減を目的とした濃淡燃焼バーナーでは、濃バーナーより淡バーナーの方が混合気の空気比は高く、火炎は短い。
答え5
NOx低減を目的とした濃淡燃焼バーナーでは、濃バーナーより淡バーナーの方が混合気の空気比は高く、火炎は長い。
問2 燃焼時の諸現象及びガスグループに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 水素の燃焼速度は、メタンの燃焼速度より速い。
⑵ 2種類以上の可燃性ガスからなる混合ガスの燃焼限界は、各成分ガスの燃焼限界と容積%を用いて算出できる。
⑶ ガスグループの分類における13Aのウォッベ指数と燃焼速度指数の領域は、12Aの領域と一部重なっている。
⑷ イエローチップが発生した状態でこんろを使用していると、赤黄色に輝いている炭素がすすになって鍋底に付着することがある。
⑸ バーナーをインプットの高い範囲で燃焼させた場合、一次空気率を上げるとフラッシュバックが発生する。
答え5
バーナーをインプットの高い範囲で燃焼させた場合、一次空気率を上げるとリフティングが発生する。
問3 家庭用温水機器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 自己診断機能が搭載された瞬間湯沸器では、経年劣化により給排気通路が閉そくし、燃焼状態が悪化した場合、給湯能力を制限する等の安全動作が行われる。
⑵ 元止め式瞬間湯沸器は、出湯管から直接湯を使う場合に用いられ、他の水栓には給湯できない。
⑶ 瞬間湯沸器において出湯サーミスターの出湯温度情報から湯温を制御する仕組みをフィードフォワード制御という。
⑷ 追いだき回路中に水位センサーが内蔵されているふろ給湯では、浴槽の循環口から水面までの水頭圧を計測することにより、水位監視が可能である。
⑸ 開放式瞬間湯沸器には、不完全燃焼防止装置が複数回連続して作動した場合に再使用することを防止するため、再点火防止機能の搭載が義務付けられている。
答え3
瞬間湯沸器において出湯サーミスターの出湯温度情報から湯温を制御する仕組みをフィードバック制御という。
問4 家庭用ガス機器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
⑴ ガスこんろに内蔵されているグリルでは多機能化が進み、専用の容器を用いることでオーブン料理ができる機種が商品化されている。
⑵ 2温度コントロール方式の熱源機は2種類の暖房用温水循環回路を持ち、高温(約60°C)と低温(約40°C)の温水を供給する。
⑶ 浴室暖房乾燥機のミストサウナ機能のうち、スプラッシュミストでは、ノズルから噴霧したミストを壁面に当ててより微細なミストを生成する。
⑷ エネファームはエコウィルに比べ熱回収効率は高いが、発電効率は低い。
⑸ エネファームでは燃料処理装置により都市ガスを水素に変換するため、排ガス中に二酸化炭素は含まれない。
答え1
⑵ ×
2温度コントロール方式の熱源機は2種類の暖房用温水循環回路を持ち、高温(約80℃)と低温(約40,60℃)の温水を供給する。
⑶ ×
浴室暖房乾燥機のミストサウナ機能のうち、マイクロミストでは、ノズルから噴霧したミストを壁面に当ててより微細なミストを生成する。
⑷ ×
エネファームはエコウィルに比べ熱回収効率は低いが、発電効率は高い。
⑸ ×
エネファームでは燃料処理装置により都市ガスを水素に変換するため、排ガス中に二酸化炭素を含む。
問5 ガス冷暖房に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 冷暖房方式には冷凍機の原理により吸収式と圧縮式とがあり、ガスエンジンヒートポンプ(GHP)は圧縮式に属する。
⑵ 吸収冷温水機には、ガスを加熱源としたものに加えて、ガスコージェネレーションシステムの排熱を加熱源として組合せたものがある。
⑶ GHPの冷房サイクルでは、室外機内の熱交換器を凝縮器として、室内機内の熱交換器を蒸発器として利用している。
⑷ GHPは、投入するガスの熱量を上回る冷暖房能力を得ることができない。
⑸ 吸収冷凍機の蒸発器では、冷媒が蒸発するときの潜熱を利用して冷水が作られる。
答え4
GHPは、投入するガスの熱量を上回る冷暖房能力を得ることができる。
問6 コージェネレーションシステム(CGS)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 運転方式には電主熱従運転と熱主電従運転とがあり、前者は更に発電目的によりピークカット運転とベースロード運転とに分けられる。
⑵ ガスタービン式では、排ガス温度が低いため、排熱は主に温水として回収される。
⑶ ガスタービン式のバリエーションである排気助熱サイクルでは、排ガスを加熱することにより、排熱ボイラーから多量の蒸気を取り出すことができる。
⑷ ガスエンジン式のバリエーションである温水回収タイプでは、ジャケット冷却水系と排ガス系との一連の熱交換器から温水として排熱を回収する。
⑸ CGSから排出されるNOxを低減する方法には、燃焼改善によりNOxの発生を抑制する方法と排ガス処理によりNOxを除去する方法とがある。
答え2
ガスタービン式では、排ガス温度が高いため、排熱は主に蒸気として回収される。
問7 換気と一酸化炭素(CO)中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 排気筒が落葉や鳥の巣等でふさがれ十分な排気ができない場合、不完全燃焼によりCOが発生する可能性がある。
⑵ 半密閉式ガス機器の排気筒トップに強風が吹きつけ十分な排気ができない場合、不完全燃焼によりCOが発生する可能性がある。
⑶ 台所等の火気を使用する部屋の必要換気量は、次の式から求められる。
必要換気量V(m^3/h)=定数×理論排ガス量K(m^3/MJ)×燃料消費量Q(MJ/h)
⑷ CO中毒は、血液中のCOヘモグロビン濃度が上昇するにつれて、体内組織内の酸素が欠乏することによって引き起こされる。
⑸ 人がCOを1~2%含む空気を30分間吸入した場合、重篤な意識障害と激しいけいれんを起こすものの、死亡には至らない。
答え5
人がCOを1~2%含む空気を吸入した場合、1~3分で死亡する。
問8 給排気方式に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 集合住宅で用いられる共用給排気ダクトのうち、SEダクト方式は水平ダクトと垂直ダクトから構成され、ガス機器の給排気筒を水平ダクトに接続する。
⑵ 半密閉式ガス機器の排気方式には、燃焼排ガスを自然通気力により屋外に排出するCF式と、送風機を用いて排出するFE式とがある。
⑶ 半密閉式ガス機器の燃焼排ガスを自然排気する際のドラフトは、数Paにも及ばない微弱なものである。
⑷ ファンヒーターなどの開放式ガス機器では、燃焼排ガスを屋内に排出するため、換気に注意しなければならない。
⑸ FF式ガス機器は屋根上まで給排気筒トップを延長する必要がなく、BF式やCF式ガス機器に比べて設置上の制約が少ない。
答え1
集合住宅で用いられる共用給排気ダクトのうち、SEダクト方式は水平ダクトと垂直ダクトから構成され、ガス機器の給排気筒を垂直ダクトに接続する。
問9 ガス機器の制御に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ ガス量を制御する方式には、段階的に制御する多段式と連続的に制御する比例制御式がある。
⑵ 空気量を制御する方式には、ファンの回転数を段階的に切り替える方式とファンの回転数を連続的に変化させる方式がある。
⑶ ガスガバナー(器具ガバナー)は、ダイヤフラムの働きによってバーナー等へ送られるガスの圧力を一定に保つことができる。
⑷ 温度制御等に用いられるサーミスターは、温度が上がると起電力が上がる特性がある。
⑸ 自動お湯はり機能に用いられる水位センサーは、水圧を電気信号に変換して水位を検知する。
答え4
温度制御等に用いられるサーミスターは、温度が上がると電気抵抗値が低下する特性がある。