ガス主任技術者試験 基礎理論(計算問題)甲種 過去問Webクイズ① 一問一答形式

甲種ガス主任技術者試験の基礎理論科目で過去に出題された問題の中で、計算を用いる問題を9問抜粋しました。

問1 温度25°Cの空気の流速を測るため、ピトー管を用いて液差圧を測ると120mmであった。ここにガス比重(空気を1とする)0.5の気体を流すと、液差圧は240mmになった。ガス比重0.5の気体の流速は、温度25°Cの空気の流速の何倍か。ただし、気体の密度は封液の密度と比較すると、十分小さく無視できるとする。

⑴0.5 ⑵1 ⑶2 ⑷4 ⑸8

答え

答え⑶2

この問題を解くためには、ピトー管の原理と流体力学の基本式を使用します。

ピトー管を用いた流速の計算は次の式で表されます。

v = √(2•ΔP) / ρ

ここで、v は流速、ΔP は液差圧、ρ は流体の密度です。

まず、空気の流速を計算します。

  • 空気の液差圧 ΔP = 120 mm
  • 空気の密度 ρ = 1 kg/m³ (基準として)

v = √(2×120) / 1 …①

次に、ガス比重0.5の気体の流速を計算します。

  • 気体の液差圧 ΔPs = 240 mm
  • 気体の密度 ρ = 0.5 kg/m³

v = √(2×240) / 0.5…②

流速の比を求めるために、次のように計算します。

② ÷ ①より

{√(2×240) / 0.5} ÷ {√(2×120) / 1}

=2

したがって、ガス比重0.5の気体の流速は、温度25°Cの空気の流速の2倍です。

↓↓簡単に答えると↓↓

ガス比重 / 空気比重

= 0.5 / 1

= 2

問2 温度727℃の平面壁Aと放射率1.0で温度27℃での平面壁Bが、狭い間隔で平行に設置され、それぞれ一定温度に保たれている。平面壁間の放射による熱流束が28.3kW/m²のとき、平面壁Aの放射率として最も近い値はどれか。ただし、ステファン・ボルツマン定数は5.67×10^-8W/(m²・K⁴)とし、吸収率は放射率と同じとする。

⑴0.1 ⑵0.3 ⑶0.5 ⑷0.7 ⑸0.9

答え

答え⑶0.5

この問題を解くためには、ステファン・ボルツマンの法則を使用して、放射による熱流束を計算します。

q = σ•ϵ•ϵb•(T1⁴−T2⁴) / (ϵ + ϵb – ϵ•ϵb)

q:熱流束 (28.3 kW/m² = 28300 W/m²)

σ:ステファン・ボルツマン定数 {5.67 × 10^−8 W/(m²·K⁴)}

ϵ:平面壁Aの放射率

ϵb:平面壁Bの放射率 (1.0)

T1:平面壁Aの温度 (727°C = 1000K)

T2:平面壁Bの温度 (27°C = 300K)

次に、放射率 ϵ を求めるために、上記の式を再整理します。

28300 = ε × 1.0 × (5.67×10^-8) × {(273+727)⁴ – (273+27)⁴} / (ε + 1.0 – ε×1.0)

28300 = ϵ × (5.67×10^−8) × (1000⁴ − 300⁴)

まず、温度の4乗の差を計算します。

1000⁴ – 300⁴

= 9.919×10¹¹

次に、放射率 ϵ を求めます。

28300 = ϵ × (5.67×10^−8) × (9.919×10¹¹)

ϵ = 28300 / {(5.67×10^−8) × (9.919×10¹¹)}

ϵ ≒ 0.503

したがって、最も近い値は ⑶0.5 です。

問3 質量基準で、メタン:酸素 = 2:1の混合ガスをある容器に充てんしたところ、全圧が200kPaであった。このとき、メタンの分圧(kPa)として最も近い値はどれか。

⑴40 ⑵70 ⑶100 ⑷130 ⑸160

答え

答え⑸160

まず、メタン (CH4) と酸素 (O2) の質量比が 2:1 であることから、メタンの質量を 2m、酸素の質量を m とします。

次に、メタンと酸素のモル数を求めます。

メタン (CH4) のモル数:

メタンの分子量は 16 g/mol

メタンの質量は 2m

モル数 = 2m / 16 g/mol = m / 8 mol

酸素 (O2) のモル数:

酸素の分子量は 32 g/mol

酸素の質量は m

モル数 = m / 32 g/mol = m / 32 mol

次に、全モル数を求めます。

全モル数 = (m / 8) + (m / 32)

= (4m + m) / 32

= 5m / 32 mol

全圧力が 200 kPa であることから、メタンの分圧を求めます。メタンのモル分率を使用します。

メタンのモル分率 = (m / 8) / (5m / 32) = 4 / 5 = 0.8

メタンの分圧 = 全圧力 × メタンのモル分率

メタンの分圧 = 200 kPa × 0.8

= 160 kPa

したがって、 答えは⑸160 になります。

↓↓↓簡単に解く場合↓↓↓

メタンCH4:1mol = 16g

酸素O2:1mol = 32g

分子量で比較すると同じ容量にメタンは酸素の2倍入ることがわかる。

問題では、メタン:酸素=2:1の比率なので、分圧の比率では、4:1になる

200×4/5=160 (kPa)

問4 温度300K、圧力100kPaの理想気体6m³を定圧膨張させて8m³にした。このとき理想気体に与えられた熱量(kJ)として最も近い値はどれか。ただし、気体の定圧モル熱容量Cp=33.2J/(mol•K)、気体定数R =8.3J/(mol•K)として計算せよ。

⑴400 ⑵500 ⑶600 ⑷700 ⑸800

答え

答え⑸800

この問題を解くためには、理想気体の状態方程式と熱力学の基本原理を使用します。

まず、理想気体の状態方程式 PV = nRT を使用して、モル数 n を求めます。

初期状態でのモル数 n:

  • 圧力 P = 100 kPa = 100,000 Pa
  • 体積 V = 6 m³
  • 温度 T = 300 K (絶対温度)
  • 気体定数 R = 8.3 J/(mol·K)

n = PV / RT

n = (100,000 Pa × 6 m³) / (8.3 J/(mol·K) × 300 K)

n = 242.42 mol

次に、定圧膨張の際の熱量 Q を求めます。定圧過程では、熱量 Q は定圧モル熱容量 Cp を使用して計算します。

温度変化 ΔT を求めます。定圧膨張の際、体積が 6 m³ から 8 m³ に変化するので、温度も変化します。

初期状態の温度 T1 = 300 K 最終状態の温度 T2 を求めるために、体積比を使用します。

V1 / T1 = V2 / T2

6 m³ / 300 K = 8 m³ / T2

T2 = (8 m³ × 300 K) / 6 m³

T2 = 400 K

温度変化 ΔT = T2 – T1

ΔT = 400 K – 300 K

ΔT = 100 K

最後に、熱量 Q を求めます。

Q = nCpΔT

Q = 242.42 mol × 33.2 J/(mol·K) × 100 K

Q = 804,424 J

Q = 804.4 kJ

したがって、このとき気体に与えられた熱量は約 804.4 kJ です。

最も近い値は ⑸800 です。

問5 温度T1の高温熱源から熱Q1を吸収し、温度T2の低温熱源に熱Q2を放出するカルノーサイクルがある。T1=800K、T2=200Kのとき、放熱量と吸熱量の比(Q2/Q1)として最も近い値はどれか。

⑴0.25 ⑵0.75 ⑶1.3 ⑷3.0 ⑸4.0

答え

答え⑴0.25

カルノーサイクルにおいて、放熱量 (Q2) と吸熱量 (Q1) の比は、温度の比に等しいです。具体的には、次の式で表されます。

Q2 / Q1 = T2 / T1

与えられた条件を使用して計算します。

  • 高温熱源の温度 T1 = 800 K
  • 低温熱源の温度 T2 = 200 K

Q2 / Q1 = 200 K / 800 K

= 0.25

したがって、放熱量と吸熱量の比(Q2/Q1)は⑴0.25です。

問6 一次反応において、反応物質の75%の量が反応するのに要する時間は、50%の量が反応するのに要する時間の何倍か。最も近い値はどれか。

⑴1.0 ⑵1.5 ⑶2.0 ⑷3.0 ⑸4.0

答え

答え⑶2.0

一次反応において、反応物質の量が減少する速度は、反応物質の濃度に比例します。一次反応の速度式は次のように表されます。k は反応速度定数です。tは時間

一次反応:t = k ・ ln(a / a-x)

反応物質の75%の場合、

t = k • ln(1 / (1-0.75))

t = ln4…①

反応物質の50%の場合、

t = k • ln(1 / (1-0.5))

t = ln2…②

t(時間):①は②の2倍なので、⑶2.0になる。

問7 プロパン60vol%、窒素20vol%、酸素20vol%からなる混合ガス1m³を、完全燃焼させるのに必要な理論空気量(m³)として最も近い値はどれか。ただし、空気の組成は、窒素80vol%、酸素20vol%として計算せよ。

⑴6 ⑵10 ⑶14 ⑷15 ⑸18

答え

答え⑶14

この問題を解くためには、プロパンの完全燃焼に必要な酸素の量を計算し、その後にプロパンの完全燃焼に必要な理論空気量を計算し、最後に混合ガス内の酸素を引いて求めます。

まず、プロパン (C3H8) の完全燃焼反応を考えます。

C3H8+5O2→3CO2+4H2O

1モルのプロパンの完全燃焼には5モルの酸素が必要です。

次に、混合ガスの体積比を考慮します。

  • プロパンの体積比 = 60%
  • 酸素の体積比 = 20%

混合ガス1m³中のプロパンの体積は0.6m³です。

プロパンの完全燃焼に必要な酸素の体積は次のように計算します。

0.6 m³ × 5 = 3 m³

次に、理論空気量を求めます。空気の組成は窒素80%、酸素20%ですので、酸素1m³に対して空気は5m³必要です。

したがって、プロパンの完全燃焼に必要な理論空気量は次のように計算します。

3 m³ × 5 = 15 m³

混合ガスに既に含まれている酸素20vol%を空気に換算します。

10/2 × 0.2 = 1 m³

必要な空気量 = 理論空気量 – 混合ガス内の空気量

= 15 m³ – 1 m³

= 14 m³

問8 オリフィスメーターを用いてメタンガスの流量を測定したところ、流量5m³/hのときの差圧が1kPaであった。差圧が4kPaになったときの流量(m³/h)として最も近い値はどれか。ただし、流量係数など他の条件は変わらないものとする。

⑴2.5 ⑵5 ⑶10 ⑷20 ⑸80

答え

答え⑶10

この問題を解くためには、オリフィスメーターの流量計算式を使用します。

オリフィスメーターの流量Qは次の式で表されます。

Q = K√(ΔP / s)

K:流量係数、Q:流量、ΔP:差圧、s:比重

オリフィスメーターを用いてメタンガスの流量を測定したところ、流量5m³/hのときの差圧が1kPaであったので、

5 = K√(1/s)

K = 5 /√(1/s)…①

差圧が4kPaになったときの流量(m³/h)は、

Q = K√(4/s)…②

①を②に挿入すると、

Q = {5 /√(1/s)} × √(4/s)

Q = 10

問9 熱伝導率が1W/(m・K)で厚さ200mmの耐水レンガと、熱伝導率が0.1W/(m•K)で厚さ100mmの断熱材を積層した炉壁がある。この炉壁の定常時の耐火レンガの内面温度が1000°C、断熱材の外面温度が40°Cであった場合、耐火レンガと断熱材の境界面の温度(°C)として最も近い値はどれか。ただし、耐火レンガと断熱材の接触熱抵抗は無視する。

⑴200 ⑵360 ⑶680 ⑷840 ⑸920

答え

答え⑷840

この問題を解くためには、熱伝導率と厚さを考慮して、耐火レンガと断熱材の境界面の温度を計算します。

フーリエの法則より

λ1 × {(T1-T2) / L1} = λ2 × {(T2-T3) / L3}

耐火レンガの熱伝導率:λ1 = 1.0 W/(m·K)

断熱材の熱伝導率:λ2 = 0.1 W/(m·K)

耐火レンガの厚さ:L1 = 0.2 m

断熱材の厚さ:L2 = 0.1 m

内面温度:T1 = 1000℃

外面温度:T3 = 40℃

求める境界温度:T2

上記の式をT2について解きます。

1 × {(1000-T2) / 0.2} = 0.1 × {(T2-40) / 0.1}

T2 = 840